『Super Build/SS7』の導入事例
やはり実形状どおり入力した方がイメージどおりの応力図がでて、確認のしやすさや入力間違いなどの判断にも繋がりますね。
有限会社タック構造設計
石井 春男 様
所在地:福島県西白河郡 業種:構造設計事務所
福島県内の『SS7』の状況はいかがでしょうか?
福島県でも『SS7』の確認申請(適合判定)が県内や県外の構造設計事務所から提出されているようです。適合判定会の中では、「特殊形状の入力ができるのは良いが結果はどうなの」と質疑があったみたいですね。入力した後の検証は、大事だと思います。例えば、同一層になった時の地震力の取り扱いについて、『SS3』では剛床解除をしたり副剛床にしたりしますが、『SS7』は形状どおり入力できるため、剛床は自動でやっているだろうみたいな感覚になると怖いなと思います。下屋などは柱が短くて剛性が高い、そういったところに地震力が集中していた物件があり、設計者としてどのように考えているかを適判でも指摘されていたようです。
『SS7』では、どのような物件を行っていますか?
鉄骨の建物であれば、吊り庇やちょっとした屋根の段差(切り妻)などが多くあります。吊り庇の場合、柱で入力するか梁で入力するかなどの検証が必要となります。吊り材の軸力というイメージが強い時は柱で入力して節点の同一化を行いました。このモデル化が良いのか、梁として入力して下げるモデル化が良いのかは悩ましいところでしたが…。これが柱の中間に取り付く場合も同様ですね。入力した後の応力状態を確認しながらイメージどおりになっているかは重要です。『SS7』では、吊り材の応力図が躯体と重ね合わせることができますので、確認は非常に分かりやすくて良かったですね。これが『SS3』だと節点にモーメントを直接入力してモデル化しますが、どうしてもイメージどおりにならないことがあります。やはり実形状どおり入力した方がイメージどおりの応力図がでて、確認のしやすさや入力間違いなどの判断にも繋がりますね。
自分の思い込みとならないようにイメージの正否も検証しながら、自分も勉強していきたいと思います。
現在の『SS7』のご利用方法を教えてください。
現在の使い方として、所員の中には『SS7』で1から入力する人もいますが、私は『SS3』で入力してから『SS7』へデータ変換しています。『SS7』で1から入力した方が早く感じますが、『SS7』の便利な機能を含めて、これから徐々に覚えていこうと思っています。
新しくユニオンさんのソフトウェアを使用する方は『SS7』から始めた方が良いでしょうね。
『SS7』での実績を教えてください。また、『SS7』のメリットと感じる点を教えてください。
『SS7』での確認申請はS造物件2棟ありましたが、両方とも『SS3』『SS7』で大きく結果が変わらないことを確認してから申請しました。RC造よりもS造の方が中間階や中間庇などがあるため、より形状どおりのモデル化として使い道がありますね。実モデルでの応力として作図されているため、応力図でのバランスや節点周りでの収束など確認はしやすいです。
『SS3』だと、審査側がルート表を確認する際、平屋建てなのに屋根の段差などで2階建てのモデル化をしているケースがよくありますが、『SS7』はこれを同一層として扱えるため、計算書は平屋として出力されますので、言葉的な食い違いがありません。剛性も偏心も2階モデルで入力していますが平屋として解析し、計算書としてでてきているところが小中規模のS造としては最大のメリットだと感じます。
『SS7』への要望はありますでしょうか?
要望としては、床と同じように壁も縦・横に荷重分割を指定できると良いですね。縦胴縁での荷重、横胴縁での荷重がそんなに大きな影響はないですが、どこまで精算に近づけられるか、層中間のダミー梁等との荷重処理というとこですね。
トラス梁の入力、トラスの梁成分で仕口周りの認識ができると良いですね。中規模な物件でも大スパンとしてトラスを使いたい場合もあります。また、以前『SS3』で多角形などのドーム型の入力例などがありましたよね。あんな感じの入力例のチュートリアルなどがあれば良いですね。メーカーさんが推奨する入力方法や対応例などを「Q&A」や注意事項という形で情報発信していただけたらと思います。
『SS7』に対する期待を教えてください。
今後は基礎部分について、独立基礎とべた基礎・布基礎が混在でできるようになっているので検証したいと思います。1つ1つ検証しながら自分なりに納得できれば、審査機関への説明もできて『SS3』や『FA1』と併用しなくても『SS7』1本で使えますよね。ユニオンさんを信用していないわけではないですが(笑)。ユニオンさんが大丈夫だよと言ってくれれば安心して使いますけどね(笑)。
『SS7』はまだまだ伸びシロがあるソフトウェアだと思いますので、これからもっと良いソフトウェアにしてほしいですね。
本日は、ありがとうございました。
取材協力:石井 春男 様