『Super Build/SS7』の導入事例
パラメトリックスタディも効率化されました。
株式会社宮田構造設計事務所
(左より)宮田 容子 様、宮田 雄二郎 様、杉村 拓紀 様、
加藤 千博 様
所在地:東京都渋谷区 業種:構造設計事務所
業務内容を教えてください。
鉄筋コンクリート造または鉄骨造による低層建築物の構造設計を主に行っています。用途は集合住宅、学校が多く、その他福祉施設、消防署、街づくり拠点施設等も設計してきました。体育館等はスパンが大きく、吹き抜けがあり、加えて梁の傾斜やレベル差もあります。そのような建物では、モデル化に工夫が必要ですが、『SS7』を使うことで複雑な形状を実情にあわせてモデル化できるようになったため、補正が不要になり設計の効率を改善できました。
また近年は中大規模木造にも取り組み、木と鉄筋コンクリート、鉄骨を組み合わせた構造提案をする際にも『SS7』を有効活用しています。
webサイト「Exstructure(建築構造技術者のメモ)」はプログラム電卓代わりに作ったものを一部公開しています。
『SS7』の印象はいかがでしょうか?
当初モニター版をいただいた時、インターフェースにあまり変化がなかったため『SS3』を少し改良した程度かなと思いました。ところが実際に使ってみると、直感的ですが、一からソフトを作り直した印象を受けました。そのため、これまで機能追加をお願いしても、難しいのだろうなあと諦めていましたが、今後は追加対応していただけるのではないかと大きな期待感を持ちました。
『SS3』からインターフェースの変更が少ないことも、バージョンアップするユーザーが乗り換えしやすいように配慮されている印象を持ちました。これによって私も『SS7』のマニュアルをほとんどみないで入力が可能でした。
ただし機能面は大幅に追加されていて、まったく別のソフトという印象です。ダミー層や節点同一化などモデル化の自由度が高まったことに加えて、計算結果をより素早く確認できるようになったことがとても役立っています。たとえば接合部の検定比や、軸組図で部材の外形と剛域長さを重ねて表示できるなど、『SS3』では確認に時間がかかっていた作業を効率化できました。
他社の一貫プログラムを利用されたことはありますか?
以前勤めていた事務所では、複雑な形状をした建物に取り組むことが多かったため、任意軸を設けることが可能な一貫ソフトを主に使用していました。ところが整形なマンションの設計で、『SS3』を使ってみたところ、計算速度が速く結果も確認しやすかったため、独立して以降は『SS3』を使用しています。『SS7』になってからはモデル化の自由度も高まったため、その点も他社のソフトと差が縮まった印象です。
設計業務の効率化に繋がっている点を教えてください。
『SS3』にはCSV出力がありましたので、それを利用していました。『SS7』では結果を表形式で確認できるようになり、『Excel』に直接貼り付けもできるため、結果確認と『Excel』での追加検討を行いやすくなりました。
また柱、梁にフカシがある場合、断面の入力を荷重剛性計算用と断面検定用で分ける必要がありますが、『SS7』ではその入力がしやすくなりました。
さらに部材の寄りとレベルを部材毎に入力できるようになったことも大変便利です。剛域、内法長さ、フェイス位置などの補正が効率よく行えるようになりました。また『SS3』では補正の入力確認にも手間がかかりましたが、『SS7』は軸組図等で入力を確認できるため、効率がよくなり入力ミスの防止にも繋がっています。
そして実情に即したスリット配置を入力できるようになったことも便利です。スリットの配置は設計上苦労するところなのですが、その補正を効率よく行えています。
弊社が扱う規模の建物では、『SS3』の計算速度に不満はありませんでしたが、『SS7』ではさらに計算速度が向上したことを実感しています。これによりパラメトリックスタディも効率化されました。
最大5ケースまで結果を比較できますが、利用されていますか?
モデルが複雑な場合、モデル化の妥当性や安全性をスタディするケースがあります。その時に計算結果を並べて比較できることは大変便利です。 『SS3』の場合は、細かな補正を加えたモデル毎にファイルを保存していましたが、『SS7』では一つのファイル内で比較できるためデータ管理上も役立っています。
最後に、今後の『SS7』について何を一番期待されていますか?
『SS7』になりさまざまな機能が追加され、今のところもう十分と感じています。計算結果を素早く確認できるなど、実務者にとって重要な機能を重視されている点を特に信頼していますので、今後も信頼性の高いソフトとして進化されることを期待しています。
あえて機能面であげると、構造図の作成機能です。『SS7』で「柱梁断面リスト」機能が追加されましたが、『SS7』から直接『Jw-cad』ファイルを出力できるため大変効率がいいです。
今後BIMによる効率化が言われていますが、弊社の場合は整合のとれた構造図を『Jw-cad』ファイルで出力してくれるだけで大変ありがたいです。
『SS7』では部材の寄り、レベルを部材毎に入力できるようになったため、ほぼ構造図作成のための必要項目は網羅されていると思います。あとは床レベルくらいでしょうか。計算には使わない作図にのみ使う入力項目を追加することも『SS7』では可能なのでは?と期待しています。
優先順位は低いかもしれませんが、将来の商品化を期待しています。
本日は、ありがとうございました。
取材協力:宮田 雄二郎 様、加藤 千博 様
- 【 会社名 】
- 株式会社宮田構造設計事務所
- 【 URL 】
- http://www.exstructure.com
- 【 所在地 】
- 東京都渋谷区
- 【 事業内容 】
- 建築構造物の構造設計および監理、耐震診断、構造技術コンサルティング