1.M-N相関
S・CFT造(バイリニア)の柱曲げに対して、軸力による骨格曲線の変動を考慮することで、軸力相関を考慮した計算に対応しました。
※RC、SRCの柱および耐震壁の曲げ・せん断、梁のせん断の軸力による相関には対応していません。
※S・CFT柱のせん断については軸力変動の影響がもともと考慮されないため、現状のまま一定のせん断耐力で計算します。
※骨格曲線の直接入力に対応しました(柱曲げ・柱せん断・梁せん断・耐震壁曲げ・耐震壁せん断)。
2.疲労損傷度の計算
平成28年6月24日、国土交通省住宅局建築指導課より「超高層建築物等における南海トラフ沿いの巨大地震による長周期地震動への対策について」が示され、多数の繰り返し変形により鉄骨梁端部に破断が生じないことの確認が必要となりました。
破断が生じるかどうかの確認方法として、部材の時刻歴応答解析結果から振幅ごとの疲労を計算する精算的手法*1と、部材の最大塑性率と累積塑性変形倍率から計算する略算的手法*2に対応しました。
また、履歴系ダンパーおよびダンパー扱いと指定した柱、鉛直ブレースに対しても、精算的手法*1を用い、疲労損傷度を計算することができます。
3.地震動の位相差を考慮した計算
建物長さLに対する地震動の時間遅れΔtを与えることで、基礎重心位置の並進加速度と回転加速度を自動計算し、地震動の位相差による影響を考慮することができます。
4.P-Δの考慮
建物の水平変位の増加に伴い鉛直荷重が建物あるいは部材を転倒させようとする作用である、P-Δ効果を考慮できます。
5.水平ブレースの非線形対応
水平ブレースの非線形を考慮できます。
6.計算効率向上
応答解析では、最大16のケースを同時に計算することで計算時間の短縮を実現しました。
解析ステップ数の多いケースから順番に解析をスタートさせ、トータルの解析時間を削減できます。
応答解析中に1つのケースの計算でエラーが発生した場合に、その時点で計算中のすべての計算を中断させ、すぐに計算を止めることができます。
7.機能概要
振動モデル | 立体フレームモデル | |
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考慮する変位成分 | X・Y・Z・θx・θy・θz・γx・γy(動的自由度としてはX・Y・Z・剛床θz) | |
解析規模・特殊形状 | 『SS7』および『SS3』に準じる | |
固有値解析法 | ハウスホルダー法・ヤコビ法による固有値解析 免震層に指定変位を与えたときの固有値解析・偏心率の計算 |
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応答解析機能 | 直接積分法(Newmarkのβ法、β=1/4)による弾塑性解析 P-Δ効果の考慮・免震の付加曲げ(P-δ、Q-h、免震の寄りによる)の考慮・疲労損傷度の計算 |
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減衰タイプ (内部粘性減衰) |
初期剛性比例型・瞬間剛性比例型・質量比例型・レーリー型 初期剛性比例型・瞬間剛性比例型については、構造種別ごとに減衰定数の指定、 部材ごとに減衰定数と周期の指定、各次の減衰定数の指定が可能 |
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履歴特性の種類 |
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入力地震波の方向 | X方向・Y方向・Z方向、XYZ方向同時入力、作用角度の入力、地震波の位相差を考慮する場合θz方向 | |
地震波ファイル | 『SS21シリーズ』地震波ファイル(*.dswv)標準対応 『SS21シリーズ』が出力する加速度時刻歴ファイル(*.acc)、 『DynamicPRO』の変換済ファイル(*.dwv)、 『SuperDynamicPRO』の変換済ファイル(*.dy5)、 TEXTファイル(カンマ・スペース・タブでデータが区切られたファイル、 固定長によりデータが区切られたファイル)が変換可能 |
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制振ダンパー | 種類 | 履歴系ダンパー(折線型)・粘性系ダンパー(折線型・曲線型) ・複合ダンパー(折線型・曲線型)・メーカー製ダンパー 複合ダンパーでは、付加質量要素・Maxwell要素(3要素)の組み合わせが可能 |
配置 | 壁タイプ(シアリンク型など)・間柱タイプ・ブレースタイプ・柱タイプ・節点間タイプ | |
免震支承材 | 種類 | 『SS7 Op.免震部材』で登録した免震支承材、鉛プラグ挿入型積層ゴム・高減衰ゴム系積層ゴム・天然ゴム系積層ゴム ・すべり支承・転がり支承・メーカー製支承材 支承水平方向はMSSモデル、鉛直方向は非線形ばね |
履歴特性 | 鉛プラグ挿入型積層ゴム・高減衰ゴム系積層ゴム:修正バイリニア 天然ゴム系積層ゴム:線形 すべり支承・転がり支承:標準型バイリニア(摩擦係数指定) 鉛直ばね:線形・標準型・逆行型 |
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配置 | 一貫計算での支点に配置あるいは中間層の柱と入れ替えて配置 | |
免震ダンパー | 種類 | 『SS7 Op.免震部材』で登録した免震用ダンパー(減衰材)、履歴系ダンパー(折線型)・粘性系ダンパー(折線型・曲線型) ・複合ダンパー(折線型・曲線型) 履歴系ダンパーは、指定により1方向せん断ばねモデルまたはMSSモデル 複合ダンパーでは、付加質量要素、Maxwell要素(3要素)の組み合わせが可能 |
配置 | 任意の床位置に配置 |
参考文献
1)Takeda,Sozen,Nielsen:Reinforced Concrete Response to Simulated Earthquakes, ASCE,1970.12
2)壁谷澤寿海,小谷俊介,青山博之:耐震壁を有する鉄筋コンクリート構造物の非線形地震応答解析,
コンクリート工学年次講演会講演論文集,1983
3)山田稔,辻文三:鋼材の応力-歪関係に関する研究(I:等方+移動硬化モデル),日本建築学会論文報告集,
No.270,pp.17ー22,1978.8
4)小野喜信,金子洋文:鋼材ダンパーの解析アルゴリズムとサブルーチン,パッシブ制振構造シンポジウム2001,2001.12
5)柴田道生,中村武,若林實:鉄骨筋違の履歴特性の定式化-その1 定式化関数の誘導-,日本建築学会論文報告集,第316号,
pp.18-23,1982.6
- *1波形分解はレインフロー法を用いる。
- *2最大振幅繰り返し仮定と振幅頻度一様仮定の2つに対応。
- *3RC・SRC部材に対してのみ指定可能
- *4除荷剛性パラメータγと内部ループパラメータαの指定が可能
- *5S造のブレースに対してのみ指定可能
- *6履歴系ダンパー(折線型)、ダンパー扱いとした柱(せん断のみ)・鉛直ブレース(軸のみ)に対してのみ指定可能