(東京都)
本建物は、RC造5階建ての賃貸マンションで、1階には店舗、最上階はオーナー住居となっています。平面形状は四角形で、立面形状は東面と南面に道路があり(南面は2 項道路)、両側からのセットバックが存在します。
構造計画概要
両方向共、ラーメン構造とし、フレーム内の壁にスリットを設けました。廊下は片持梁で支え、メイン架構から外に出す形式としました。また、ペントハウスは壁式としました。基礎は、搬入道路が狭く重機が持ち込めないことから、羽根付鋼管杭を使用しました。
『SS7』利用方法
平面的には悩むような架構ではありませんが、高さ方向では両側からのセットバックで丘立ち柱や腰折れ柱が存在します。腰折れ柱は形状どおり入力することができました。また、セットバックにより、柱頭と柱脚で違うフレームと重なる部分もあったため、節点同一化で対処をしました。両方向からのセットバックで形状がつかみにくい箇所は3D表示が役に立ちました。片持梁をフレームで作成して大梁入力したほうが入力しやすい場合がありますが、柱梁接合部の設計がうまくできないため、接合部の設計を優先して片持梁入力としました。ペントハウスは重量の考慮という意味で壁と同断面の柱でモデル化して形状入力しました。基礎も『SS7』に入力して断面算定まで行いました。
別途検討項目
片持梁や小梁も『SS7』で断面算定できますが、数値の羅列で見難いため、別ソフトを用いて設計しました。
ペントハウスで『Super Build®/WRC』を使用しました。
審査機関からせん断チェックくらいでいいのでは?と提案されましたが、開口補強筋や曲げ補強筋の算定ができるため、大袈裟とは思いましたが壁式一貫計算を利用しました。
杭も曲げ戻しを考慮して断面算定をしてくれますが、引き抜けている杭に対して断面算定してしまうため別途検討をしました。
確認検査時の指摘事項や対処方法
指摘事項としては、荷重の拾い漏れ、符号の不整合、剛性の評価くらいでプログラム使用上の問題点の指摘はありませんでした。柱梁の入力で荷重剛性用の断面が入力できるようになり、特殊荷重や剛性割り増しの手間が省けるようになったのは便利でした。ただ、変更が多いと修正し忘れが起こりやすくなるため、注意が必要だと感じました。