(内子方式:上部・下部共にS 造とはExp.J)
(広島県)
本建物は、複数店舗棟(SF2 三角乾式屋根)、事務所棟(SF4 八角形架構乾式屋根)、駐車場棟(SF4 自走式 屋根太陽光設備架構 乾式屋根)、RCスタジオ棟(RCF2内子方式)で計画されています。建物高さは17.5m。上図は上部側を北面とする全体架構モデルを示しています。
構造計画概要
2階までは中央棟を挟んで西棟を左に、東棟・駐車場棟を右に配置される平面計画、3階から上部は中央棟・東棟・駐車場棟よりなる立面計画に対し、平面バランス特に1、2階は偏心率0.15以下(両方向共に)を目標とし、一体構造として計画を行っています。
RCスタジオ 平面形Lx:10.36m、Ly:12.38m、高さ:6.67mは前記本体の内子構造、鉄筋コンクリート(設計ルート1強度型)構造とし平面剛性バランスの点から上部構造、下部基礎構造共に、両方向Exp.Jとしています。西棟・東棟の三角屋根(乾式屋根)構造は長辺方向棟部分には壁ブレースを設け、三角屋根、陸梁レベル(設備機器スペースは合成スラブ)は平面ブレースで構成し、剛床仮定としてモデル化しています。当該部のブレース(鉛直・水平)の断面検討は水平震度k=0.5相当に対し手計算にて補足検討を行っています。
駐車場棟は南面に自走・傾床式スロープを有しており、当該床はダミー層、節点同一化によりモデル化を行っています。スロープ部受大梁(内部スロープ側登り方向小梁)にはピン・ローラー支承を1層当たり2箇所設ける計画とし、スロープ部を含む水平剛性の当該X方向架構へ影響を及ぼさない計画としています。
中央棟4階八角形屋根架構は、モデル化は4階としてのAi分布に依る検討、補足検討として1Gに対する検討を手計算にて確認を行っています。
『SS7』利用方法
西棟、東棟3階レベルより上部の三角屋根はダミー層(下階に従属)、節点の上下移動によりモデル化を行っています。床ブレース、壁ブレースの入力も考えられますが、当該範囲は軽量屋根である点、下階に従属する形態であることから今回は手計算にて検討を行っています。
駐車場棟 傾床式スロープの当該大梁のピン・ローラー支承のモデル化「当該梁に軸力・同剛性を生じさせない方法」として、「[9.4.剛度増減率-9.4.1.梁]で断面方向を“3:材軸方向”としたときは、軸変形用断面積の増減率になり、このとき、鉄筋鉄骨で-2を入力するとφAを0にする」を採用しました。
本計画は構造用スパン X方向:28、Y方向:33、高さ方向17層と計画規模に対し、ダミー層、通りを多く設けることにより、建物全体のモデル化を可能としています。より実状に近いモデル化による応力解析、1次、2次設計を行うことに挑戦できたと思っています。
節点移動、平面・立面、節点同一化、傾斜部分・ダミー層従属層の各剛床解除を用いることにより可能となること(グリッド入力と一般モデル入力)を確認しながらまとめることができました。
確認審査時の指摘事項や対処方法
事前申請の際、確認審査機関および構造計算適合性判定機関へ、本資料と同様な内容の構造概要、設計方針、設計概要説明(本体一体化検討、三角屋根廻りの考え方、スロープ梁のモデル化、全体バランス・・・・・・)を行い両審査機関担当者様との共有を行いました。
事前質疑・回答において前記各項目に対する補足検討は行いましたが、全般的にスムーズなQ&Aの後本申請を行うことができました。
まとめ
本建物は平面・立面が複合施設でもあり複雑であることから、『SS7』のモデル化に入る前にmidas iGen により順次(W→C→E→P棟)各棟架構モデルを作成(仮定断面計画平行)し全体像を把握しながら進めましたので、『SS7』の立体架構モデルへスムーズに反映できました。
他の三次元プログラムを用いる際も層定義(ダミー層・従属層)は必要となりますので、前記手法と併用したことは得策であったと考えています。
確認申請図書について、検定比・応力解析結果図・Ds・保有耐力時の応力図等で見やすくする方法として当該軸図のスケール調整で行うとした場合8,000頁もの出力となることが判明したため、両審査機関と協議の上、部材断面設計は全部材出力(通常求められます)を行うことで今回は申請図書をまとめることとしました。より実状に近いモデル化の必要性からすると、同様の対処が必要と思われます。