建物は平屋建ての検診センターで、外観はシンプルな2枚の勾配屋根としています。内部は2枚の勾配屋根を生かして建物中央を横断する天井高7mのセンタープラザ(健診待合)を配置しています。またセンタープラザとエントランスの天井には木梁を現しとして使用することで自然木を感じことができる計画とし、訪れた人へ安らぎと癒やしを与えることができる施設を目指しました。
構造計画概要
主要構造はRC造とし、X、Y両方向とも耐震壁付きラーメン構造としています。屋根には金属屋根を採用しているため、屋根を支持する構造としてRC大梁上に鉄骨小梁、木母屋小梁を設置するRC+S+Wのハイブリッド構造としました。地震力はすべて、主架構であるRC造部分で負担する計画としており、屋根面において鉄骨小梁部分には水平ブレース、木母屋小梁上は構造用合板を設置することで屋根面の水平面剛性を確保しています。
『SS7』利用方法
建物は1層ですが、段違いとなる2枚の勾配屋根のため、建物の屋根レベルが北と南で2層に分かれます。『SS7』であればダミー層を設定して1層ながら2つのレベルを持つ屋根の構造をモデル化できるため合理的な解析モデルを作成することができました。勾配のレベルは節点上下移動によりモデルに反映しています。
建物は耐震壁付きラーメン構造ですが、耐震壁を配置する場所に制限があり、剛性バランスの調整には苦心しました。計画を調整して、必要な耐震壁量をできる限りバランスよく配置しましたが、特にY方向の偏心率は大きくなっています。
最終的な解析では屋根面は剛床として、屋根面で伝達される水平力に対し安全側の設定として確実に応力伝達ができるよう設計しましたが、そこに至るまでに剛床解除、水平ブレースおよび構造用合板の水平剛性をモデル化した置換水平ブレースの配置等を検討し、妥当なモデルを探りました。『SS7』では多様な検討条件に対応できるため、検討を経て設計者の考える最適なモデルにて計算書をまとめることができました。
別途検討項目
屋根面の木母屋小梁、鉄骨小梁は別途手計算にて検討を行いました。また、屋根面の水平面剛性について、『SS7』のモデル化上は剛床として設定し、屋根面で伝達されている水平力は別途手計算にて、水平ブレースおよび構造用合板の耐力以下であることを確認しています。
確認検査時の指摘事項や対処方法
確認申請の指摘は不整合やモデル化の説明のほか、ハイブリッド構造のため各構造間での応力伝達についての質疑はありましたが、プログラム自体に関する質疑はありませんでした。