本建物は、地上4階地下1階建てのごみ処理施設です。平面形状は57.0m×38.3mで、大きく分けて炉室、ごみピット、プラットホームの3つのエリアで計画されています。また、炉室エリアには、地上からの高さ約59.0mの煙突が建築建屋と一体で計画されています。
構造計画概要
- 構造種別は、建物中央部のごみピット周辺を鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造とし、その他の範囲は基本的に鉄骨造としました。
- 架構形式は、XY方向共に耐震壁およびブレース付ラーメン架構としました。
- 柱脚形式は、鉄骨造は露出型柱脚とし、鉄骨鉄筋コンクリート造は非埋め込み柱脚(柱脚RC造)としました。
- 基礎形式は直接基礎とし、ごみピット範囲はべた基礎、その他は地盤柱状改良併用の独立基礎としました。
『SS7』利用方法
建物の用途上、プラント計画により建築の階ではない層に床や梁を設置したり吹き抜けが多数あったりするため、ダミー層や床版ブレース置換の機能を活用してモデル化しました。
また、モデル化や設計方針については審査機関との事前相談・協議を行い、特に地震力の伝達や柱および耐震壁の負担地震力に留意しました。
別途検討項目
- 屋根面鉄骨ブレースやスラブの面内せん断力伝達に対する検討は、『SS7』でモデル化した水平ブレースの応力解析結果を用いて別途検討を行いました。
- 地下土圧壁は、壁支持梁のスラブ取り付きの有無(支持条件設定)に留意し別途断面算定を行いました。
- モデル化の妥当性確認として、支点反力や各柱の地震時せん断力が負担重量分相当の地震力を負担しているか等を確認しました。
確認審査時の指摘事項や対処方法
- 壁開口計画の都合上、スパン途中に間柱を設けて片側を耐震壁とした部分について、上下階で連続しない壁エレメントのモデル化になっているため、当該間柱に生じる引張軸力の伝達に対する検討を行うよう指摘がありました。当該間柱の直上および直下の耐震壁に、引張軸力処理のための追加補強筋を配筋することで対処しました。
- 吹き抜け周りの梁について、保有水平耐力時において軸力を考慮した断面検討を行うよう指摘がありました。別途軸力を考慮した検討を行い、耐力不足となる梁は、適宜断面調整を行い対処しました。
- 建築建屋とプラント鉄骨架台の接続部における応力処理についての指摘がありました。柱脚曲げ応力処理のために、適宜スラブ補強筋や小梁を追加して対処しました。
その他
- 床版ブレース置換の自動認識機能により、モデル化作業の省力化が図れました。
- ダミー層、節点同一化、多層にわたる部材配置等の任意形状モデル化の機能により、実状に近い形でモデル化をすることができました。
- 耐震壁のモデル化に「ブレース置換」も加わると、より良いと考えました。
本建物で『SS7』を使用して感じたことを以下に示します。