(東京都)
本建物は、約4,500m2の鉄骨造2階建て商業施設です。売り場の動線部は平屋建てで、運搬作業用の動線部が一部2階建てになっております。
構造計画概要
両方向ともラーメン構造とし、ルート3で設計しております。本建物の大部分を占める売り場部分の階高と、一部2階建てとなる作業場部分の階高に差異が生じているため、2階建てモデルと4階建てモデルを作成し、検討をすすめることにしました。
基礎部はTNFという工法を採用しました。TNF工法は、基礎と地盤改良層を一体化した井桁状の構造で、柱下にある基礎だけでなく、基礎周囲のスラブからも改良層を介して支持地盤に伝えることができる工法です。施工会社と『SS7』のデータを使って直接やりとりできるので、設計をスムーズにすすめることができます。
『SS7』利用方法
今回のように、ふたつのモデルを作成し検討をすすめる場合に、複数の結果を同じデータ内で保存できる機能は便利でした。今回はまず2階建てモデルを作成し、その後4階建てモデルを作成しましたが、層の追加で簡単に作成できました。
また4階建てモデルで利用したのがダミー層の指定機能です。従属層を指定できるので、想定どおりのモデル化ができました。
『SS7』は結果の比較が簡単にできますので、複数モデルの検証には有効なツールだと思いました。
確認審査時の指摘事項や対処方法
2階建てモデルと4階建てモデルで検討した結果、2階建てモデルの方が実状に近いと判断し、計算書をまとめましたが、確認審査機関から、「軸組図とは相違したモデル化になっています。モデル化の見直しが必要です。」という指摘を受け、構造計算適合性判定機関からも、「梁部材が柱部材の柱頭部に取り付いていますが、図では中間部で支持していることから、地震時水平力の処理状況に疑義が生じます。柱部材等の設計内容に支障のないことを示してください。」という指摘を受け、ダミー層を利用した4階建てモデルの結果を追加説明書として提出し、確認済証が交付されました。