(東京都)
本建物は、X方向7m×10スパン、Y方向17m×2スパンで、3/100と緩い勾配の切妻屋根のある平屋建て工場です。柱は冷間成形角形鋼管、大梁はH形鋼を使用したX・Y方向共ラーメン構造としました。建物用途としては、建築用鉄骨資材および建物骨組み加工品の一時保管場所となっています。
構造計画概要
本建物は、4.8t天井クレーン6基・2.8t橋形クレーン4基が建物内部に設置されます。また、将来は建物外部に4.8t橋形クレーン2基の設置が計画されており、増設しても耐久できうる構造としました。
また、屋根面には床剛性を確保するため水平ブレースを配置しました。
下部構造は杭基礎としており、1本杭や2本杭を効率よく配置し、総数86本の杭を配置しました。
『SS7』利用方法
主架構に関しては『SS7』を用いて構造設計を行いました。ただ、建物内に設置される4.8t天井クレーンと2.8t橋形クレーンによるクレーン荷重に関しては、移動荷重としての入力が『SS7』ではできないので、事前にクレーン位置による最大応力となるケースを抽出し特殊荷重として考慮しました。
もちろん、将来的に増設される外付けクレーンも考慮しています。
また、クレーン位置によって偏心率の結果に差異が生じるため、建築主と作業状況等を協議のうえ、建物に最も不利な条件となるクレーン位置を想定して算定しました。その際、『SS7』の結果1~5に、それぞれの条件を変更した解析結果を残し比較検証が簡単にできて良かったです。
確認検査時の指摘事項や対処方法
特別な内容の指摘事項はありませんでした。クレーン位置による最大応力を求めるケースとして、荷物を吊った状態での状況や、外付けのクレーンを増設する前と増設した後の状況など、色々なケースを想定しての最大応力を算出して特殊荷重として入力しているので、その部分に関しては構造計算書に分かりやすく図解も含めて説明したのが良かったと思います。