(神奈川県)
本建築物計画は、トラス工法S造のケーブルルート構築建築工事になります。全長約50mとし、中間部にはスタンションを設けた形状となります。当初、50mを1スパンとする構造計画のご提案をしておりましたが、お施主様のご要望により記念樹の伐採をせずに中間にスタンションを設けて平面上“へ”の字の形状とした計画のご提案をしました。
また構内メインゲート正面に位置しており、シンボルとなるような意匠的な配慮も松尾工務店様にしていただきました。
構造計画概要
柱は角形鋼管としスタンショングリッドは2.35m×2.35m、中央部を1.35m×2.35mグリッドとすることで鉄骨の原剛性を確保しています。水平力に対しては、剛床仮定は成立しないことを前提に、面内剛性は床面の剛性を床ブレースとして評価しています。
『SS7』利用方法
当初は任意形状平面フレーム応力解析ソフト『FA1』を利用して応力および変位状態の確認を行っていましたが、”へ”の字の形式に変更になったことで、直交に生じる応力を考慮した立体解析を行うことが妥当と判断しました。
『SS7』ではフレーム形状の自由度が高く、形状どおりに入力でき、床ブレースにも対応しているため、最適でした。
モデル化上、苦労したのは節点取りや節点移動、柱の回転の基本入力を行った点となります。またダミー層の考え方としては、ラック部分がメインとなるため下部支柱をラック部分の従属層として設定しました。
設計上の連携や施工監理方法
『SS7』による鉛直変位や水平変位の数値や図示の表記が見やすく、設計時に行うお施主様や松尾工務店様との協議で説明しやすく役立ちました。また施工上ではキャンバーをあらかじめ設ける計画とし、スムーズに施工を進めることができました。
構造がメインである今回の架構形式はそのまま部材を確認できる上で、若手の社員の教育としても非常に説明しやすかったと感じます。モデル形状を見て、伏図、軸組図を作図し、また基準となるゲージラインを元にその細部の詳細図まで作図をして理解し鉄骨の構成を知ることができたようです。
常に明るい松尾工務店様の職場に馴染んで良いディスカッションができたと思います。『SS7』での実績が増えることで、将来的により良い連携のかけはしとなると思います。