1.基本となる指針
主として『宅地防災マニュアルの解説〔第二次改訂版〕』に対応しています。基本となる指針の設定により、主な行政庁等発行の“指針”に対応した計算が可能です。東京都、大阪府、名古屋市、横浜市、札幌市、広島市、その他…。
例)大阪府・名古屋市:中地震時と大地震時の照査が可能で、おのおのの安全率の設定が可能です。
2.個別指定で詳細検討
土質や計算条件等は物件ごとに指定しますが、敷地内の一部の擁壁だけ土質や計算条件が異なる場合は、個別に変更することが可能です。
3.擁壁に作用する荷重
自重
擁壁の設計(構造計算)に用いる自重は、躯体重量のほか、片持ばり式擁壁の場合には、底版かかとの先端から鉛直上方へのばした線を仮想背面として設定し、底版かかと上方の背面土(裏込め土)の重量も自重に含みます。
土圧
擁壁に作用する土圧は、背面土の土質や形状および擁壁の形状等に応じて、実状に合わせて算出します。常時主働土圧の計算方法として、“クーロンの土圧公式”と“試行くさび法”が選択できます。また、指定土圧を採用(宅地造成等規制法施行令の別表を採用)することも可能です。ただし、この場合は常時荷重時だけの算定となります。
地震時荷重
中地震時と大地震時とに分けての設定が可能で、計算の有無も指定できます。各地震時において、“地震時土圧”と“常時土圧+慣性力”の2ケースについて照査します。このとき、各設計水平震度khと設計鉛直震度kvおよび安全率等を設定できます。
積載荷重(表面載荷重)
擁壁背面の地盤面上にある建築物、工作物、積雪等の積載荷重を設定します。指定土圧を採用する場合は5kN/m2程度の積載荷重が含まれているものとして、積載荷重による土圧を求める場合には5kN/m2を差し引いて算出することができます。また、常時および地震時において表面積載荷重が無いなどの不安定となる状態が予想される場合に備え、表面積載荷重が無い場合も指定により照査できます。
フェンス荷重とフェンス重量
擁壁の天端にフェンスを直接設ける場合、フェンス荷重(常時荷重時における水平荷重)とフェンス重量(鉛直荷重)を作用させることが可能です。
4.計算方法の主な選択項目
- 土圧の作用面は、重力式擁壁は躯体コンクリート縦壁背面(実背面)とします。片持ばり式擁壁は安定計算時にあっては実背面と仮想背面から選択が可能です。
- 滑動に関する検討にて前面受働土圧の考慮が可能です。このとき、仮想地表面位置の設定が可能です。
- 突起をつけた場合の滑動抵抗力、突起に加わる水平力は、以下の4つの計算方法より選択できます。
- a)『道路土工-擁壁工指針(H11)』による場合
- b)『道路橋示方書 IV下部構造編』による場合
- c)『宅地造成に関する設計指針(改訂版)』大阪府版による場合
- d)『道路土工-擁壁工指針(H24)』によるによる場合
- 土圧の鉛直成分を安定モーメントに算入しないこともできます。
- 地表面載荷重が無い場合の照査も行うことができます。(名古屋市)
- 応力計算位置については、つけねはもちろん行いますが、各中間部の位置指定も可能です。