曲線型履歴オプション
SS21/DynamicPRO 曲線型履歴オプション
曲線型履歴オプションソフトウェア
『SS21/DynamicPRO 曲線型履歴オプション』は『DynamicPRO』及び『SuperDynamicPRO』で取り扱う復元力特性において、骨格曲線及び履歴曲線が連続関数で与えられるモデルを考慮できるようにするオプションソフトウェアです。
1.ソフトウェア紹介
曲線型履歴オプション
『SS21/DynamicPRO 曲線型履歴オプション』は、曲線型の復元力特性を持つ解析モデルを扱う『SS21/DynamicPRO』(以下『DynamicPRO』)及び『SS21/SuperDynamicPRO』のオプションソフトウェア(プログラム)です。
曲線型の復元力特性
各鉄骨鋼材、地盤(土)、減衰機能付き免震装置などの要素では、曲線型の復元力特性を持つ解析モデルを用いることにより、バイリニア型やトリリニア型のような折れ線型のモデルに比べ、実際の特性にかなった解析が行えます。
Ramberg-Osgoodモデル*1と双曲線モデル*2
代表的な曲線型履歴モデルであるRamberg-Osgood(以下R-O)モデル及び双曲線モデルに、汎用的パラメータを与えることで簡単に扱うことができます。
R-Oモデルは、非線形性のコントロールパラメータの指数部が1乗多い修正R-Oモデル*3も扱うことができます。
解析モデル一覧
- Ramberg-Osgoodモデル
- 双曲線モデル
- Hardin-Drnevichモデル
- 石原-吉田モデル
- 大崎-原モデル
- 古山田-宮本モデル
- 修正HDモデル
- Kikuchi-Aikenモデル
- 鋼材ダンパーモデル3(拡張M-Pモデル)
地盤の地震応答解析における土の非線形モデル
土の動的変形特性は明解な弾性域がなく、象徴的な曲線型履歴モデルと言えます。地盤のモデル化に適したHardin-Drnevichモデルを逐時非線形解析に適用させた石原-吉田モデル*4、告示モデル*5の原型となった大崎-原モデル*6、多地点での平均的な特性としてまとめられた古山田-宮本モデル*7が用意され、効率よく地盤の地震応答解析を行うことができます。
SHAKE(等価線形解析)の適用限界を超える地盤の解析
土のせん断歪みが1%を超えない範囲で応答している地盤がSHAKE*8(等価線形解析)の適用の限界と言われています*9。1%以上の歪みが生じるような場合は、『DynamicPRO』をはじめとする逐次非線形解析(直接積分法)による解析法を用いる必要があります。曲線型履歴オプションでは、等価線形解析で定義する土の非線形モデルと等価な動的変形特性が指定でき、SHAKEとの関連性を保持しながら、適用限界を超えた領域での解析を可能にします。
減衰機能付き積層ゴムの曲線型復元力
鉛プラグ入り積層ゴムや高減衰積層ゴムの実際の挙動である曲線型復元力によるモデルとして、修正HDモデル*10とKikuchi-Aikenモデル*11が扱え、精度の高い免震構造の地震応答解析が行えます。
種 別 | 取り扱い会社 | 製品名 | 修正HD | Kikuchi-Aiken |
---|---|---|---|---|
高減衰積層ゴム | 株式会社ブリヂストン | MRB | ○ | ○ |
東洋ゴム化工品株式会社 | HRB | ○ | ○※ | |
鉛プラグ入り積層ゴム | オイレス工業株式会社 | LRB | ○ | - |
株式会社ブリヂストン | MRB-L | ○ | - | |
※パラメータ直接指定による |
修正HDモデル、Kikuchi-Aikenモデルにより高次モードの励起が抑制可能
減衰機能付き積層ゴムを従来の修正バイリニア型とした場合に、上部構造において高次モードの影響による応答が励起される可能性がある*12ことが指摘されています。修正HDモデルやKikuchi-Aikenモデルではこの高次モードによる応答を抑制できる可能性があります。また修正HDモデルは従来の修正バイニリア型のパラメータを用いた実用的なモデルです。
Kikuchi-Aikenモデルでは高減衰積層ゴムのハードニング特性も考慮
Kikuchi-Aikenモデルの最大の特長は高減衰積層ゴムのハードニング特性が考慮できることにあります。特に安全余裕度検討レベルの地震動などで積層ゴムが大変形するような場合では修正バイリニアや修正HDモデルの限界変形を超える領域でも用いることができます。 (Kikuchi-Aikenモデルの適用限界は関連論文等を確認してください。)
2.動作環境・ソフトウェア保守
対応OS | Microsoft® Windows® 11 / 10 日本語版 ※64bit版については、32bit互換環境(WOW64)で動作確認しています。 ※ARM版Windows®10、Windows®11 は動作確認しておりません。 |
---|---|
CPU / メモリ | お使いのOSが推奨する環境以上 |
ソフトウェア保守 | SS21 シリーズソフトウェア年間使用・保守サービス |
その他 |
|
お客様の使用環境によっては、動作を保証できない場合があります。
3.価格
弊社ソフトウェアの価格に関しましては、資料請求フォームよりお問い合わせください。
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- *1Jennings,P.C.:Periodic Response of General Yielding Structure,J.Engrg Mech.Div.,ASCE,EM2, 1964
- *2(社)日本建築学会:入門・建物と地盤との動的相互作用,1996
- *3電力中央研究所,櫻井彰雄:エネルギー技術者のための地盤・耐震学,1999
- *4Ishihara,K.,Yoshida.N. and Tsujino,S.:Modelling of stress-strain relations of soils in cyclic loading,Fifth International Conference on Numerical Methods in Geomechanics Nagoya,1985
- *5 国土交通省住宅局建築指導課、他:2001年版建築物の構造関係技術基準解説書,2001
- *6 原昭夫:土の動的変形特性と地盤の応答解析に関する研究,東京大学学位請求論文,1980
- *7 古山田耕司・宮本祐司・三浦賢治:多地点での原位置採取試料から評価した表層地盤の非線形特性,第38回地盤工学会研究発表会,2003
- *8Schnable,P.B.,Lysmer,J. and Seed,H.B.:‘SHAKE’A Computer Program for Earthquake Response Analysis of Horizontally Layered Sites,EERC 72-12,College of Engineering University of California Berkeley,California,1972
- *9吉田望:実用プログラムSHAKEの適用性,軟弱地盤における地震動増幅シンポジウム発表論文集,土質工学会,1994
- *10竹中康雄,山田和彦,吉川和秀:免震用積層ゴム支承の曲線型履歴復元力モデル「修正HDモデル」,日本建築学会技術報告集第14号,2001
- *11M.Kikuchi, I.D.Aiken : An analytical hysteresis model for elastomeric seismic isolation bearings, EESD, vol.26, 1997
- *12(社)日本建築学会:免震構造設計指針,2001