1.建物形状
複雑な平面形状
平面形状は、X方向スパンとY方向スパンによる整形な形状を基本としますが、節点の同一化(1本の柱に5本以上の梁が取り付く形状が可能)、及び節点の移動により複雑な平面形状を扱います。
多角形床組の荷重
三角形の床、軸振れ等による多角形の床についても、設定された荷重伝達方向(一方向、亀の甲)を考慮して形状どおりに床荷重を計算し、小梁、大梁あるいは節点に伝達します。
建物の主軸方向
各階の剛性の主軸方向を計算します。また、地震力の作用角度を指定することができますので、最大変位が生じる方向に対する検討が行えます。
梁、柱の捩り剛性を考慮
梁の水平面内の曲げ剛性、せん断剛性を考慮
柱主軸の回転
剛床解除・多剛床・半剛床・床ブレースの考慮
2.許容応力度計算
立体解析、立体弾塑性解析
応力解析は、立体解析を採用しています。特殊な形状でも、モデル化することなくそのままの形状で解析します。また、床の回転を拘束した解析も行うことができます。
立体弾塑性解析を行うことにより、部材のひび割れを考慮した偏心率・剛性率の確認ができます。
浮き上がりの考慮
基礎の浮き上がりを考慮した応力解析を行うことができます。立体解析では、浮き上がりが発生するとその支点を解除して再度計算を行います。また、浮き上がった支点の直交梁や隅切り部分の梁など直交加力となる梁も断面算定時に検討することができます。
立体弾塑性解析時も、浮き上がり、圧壊を考慮した検討を行うことができます。
風荷重(屋根面の吹き上げの自動計算)
屋根面に作用する吹き上げによる風力係数を自動計算(直接入力も可)することができます。屋根面に作用する荷重は、床荷重の伝達と同様に周辺の大梁に作用させます。
二軸曲げによる柱の断面検定
水平力を45度方向から作用させた場合や隅柱の検討を行う場合など、二軸曲げを考慮した柱の断面検定を行うことができます。(S造柱の鉛直荷重時は常に二軸曲げで検討します。)
耐震壁・ブレースの断面計算
耐震壁については、一次設計時のせん断力を計算ルートに応じて割り増した検討を行います。鉄骨ブレースについては、一次設計時の軸力と許容軸力との検討を行います。ルート2では、筋かいのβによる割り増しを考慮します。
また、以下の座屈拘束ブレースに対応しています。
製品名 | 会社名 |
---|---|
アンボンドブレース*1 | 新日鉄住金エンジニアリング株式会社 |
B-UPブレース | 岡部株式会社 |
二重鋼管座屈補剛ブレース*1 |
RC・SRC部材の接合部の検討
「2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書」に記載されている、RC造、SRC造の柱はり接合部における終局時の検討を行います。RC造においては、「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」(1999)(以下「RC規準(1999)」)に基づいた許容応力度の検討を行うこともできます。
RC梁・柱付着の検討
RC造の梁について、「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」(1991)(以下「RC規準(1991)」)による付着応力度と必要延長長さの検討と、「RC規準(1999)」による必要付着長さの検討を行います。
また、必要付着長さの検討における鉄筋応力度として、存在応力度σtと降伏強度σyのどちらかを採用できます。RC造の梁・柱について、「鉄筋コンクリート造建物の靱性保証型耐震設計指針・同解説」による終局時の検討を行います。
コンクリート材料の拡張
コンクリートの高強度化に対応し、Fc200N/mm2まで指定可能です。また、特殊なコンクリートに対応するため、許容応力度、ヤング係数、ヤング係数比等を指定することもできます。
コンクリート材料指定方法の拡張
梁、柱、壁などの部材ごとにコンクリート材料を指定することにより、VH分離(鉛直・水平分離打ち工法)に対応することができます。
また、梁、柱、壁の符号ごとにコンクリート材料を指定することにより、同一階で異なるコンクリート材料を使用することができます。
主筋材料指定方法の拡張
梁、柱、壁の符号ごとに主筋材料を指定することにより、隅柱など局所的に高強度鉄筋材料を使用することができます。
高強度材料の対応
以下の高強度せん断補強筋に対応しています。
製品名 | 会社名 |
---|---|
ウルボン1275 | 高周波熱錬株式会社 |
KSS785 | - |
UHY | 北越メタル株式会社、株式会社コーテックス |
リバーボン1275 | JFEテクノワイヤ株式会社 |
スーパーフープ(KH785) | 株式会社岸鋼加工、岸和田製鋼株式会社 |
エムケーフープ(MK785) | 株式会社向山工場 |
パワーリング785(SPR785) | 東京鉄鋼株式会社、拓南製鐵株式会社、清水鋼鐵株式会社 |
OT685フープ(OT685) | 昭和産業グループ(代表会社 昭和産業株式会社)、大谷製鉄株式会社 |
柱寄筋・芯鉄筋の考慮
RC造・SRC造の柱において、寄筋を考慮できます。RC造の柱において、芯鉄筋を考慮できます(4、8、12、16本)。
SRC・S部材の鋼材選定
SRC部材においては、鉄骨選定、鉄筋選定が行えます。S部材においては、鉄骨選定が行えます。 鉄骨選定は、指定された方法により順に鉄骨断面を仮定し、許容応力が設計用応力以上になるまで繰り返し検討を行うことで、必要な断面を選定します。
柱脚の検討
S造露出型、SRC造非埋込型の柱脚を扱います。また以下の柱脚製品も扱えます。
製品名 | 会社名 |
---|---|
ハイベースNEO、スーパーハイベース、ハイベース・エコ、 クリアベース、Uボンド*2 |
センクシア株式会社 |
NCベース*2、NCベースEX、NCベースEXⅡ | 日本鋳造株式会社 |
ベースパックⅠ型・Ⅱ型・円形・H形鋼用、ベースパックNT*3 | 岡部株式会社 旭化成建材株式会社 |
ISベース | アイエスケー株式会社 |
日鉄Eベース*2 | 日鐵建材工業株式會社 |
ジャストベース*2、ジャストベース(JEⅠ型) | コトブキ技研工業株式会社 |
その他の柱脚形式(S造根巻き型、S造埋込型、SRC埋込型)については、別途計算機能で検討できます。
床・小梁の自動設計
RC造・S造の小梁・片持ち梁、RC造の床・片持ち床の荷重計算および断面検定を行います。
耐震壁・柱脚の自動設計
RC造、SRC造耐震壁の検定計算を行います。「RC規準(1999)」付11、「鉄骨鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説」(2001)25条にも対応しています。また、開口補強筋の検討も行えます。 S造露出柱脚のベースプレートおよびリブプレートの検討、S造根巻き柱脚、S造埋込み柱脚、SRC造埋込み柱脚の断面検定を行います。
機械式定着の検定
機械式定着の検定を行います。 「SABTEC機械式定着工法 設計指針(2014年)」の“置き換え方式”に基づき、必要な定着長さを確保することができるか判定します。
工法名 | 会社名 |
---|---|
オニプレート定着工法、FRIP定着工法 | 株式会社伊藤製鐵所 |
タフ定着工法 | 共英製鋼株式会社 |
EG定着板工法 | 合同製鐵株式会社 |
ネジプレート定着工法 | JFE条鋼株式会社 |
DBヘッド定着工法 | 株式会社ディビーエス |
フジアンカー定着工法 | 株式会社富士ボルト製作所 |
3.保有水平耐力計算
部材耐力式
RC造柱(長方形断面)の終局曲げ耐力式は、atによる式、agによる式、e関数式、ACI基準式、コンクリート標準示方書式のいずれかを選択できます。
ひび割れの考慮
コンクリートのひび割れによる剛性低下を考慮した弾塑性解析を行うことができます。
二軸曲げによる柱の降伏判定
荷重増分法において、ステップごとの付加軸力を追跡し、N-Mx-My関係を考慮して部材耐力を評価します。これにより、曲げ破壊、脆性破壊発生後の変形状態や保有水平耐力を正確にとらえることができます。
せん断に関しては、保有水平耐力計算後のせん断設計において、指定により二軸のせん断の検討を行います。
Ds算定時、保有水平耐力時の設定
Ds算定時、保有水平耐力時の計算条件を別々に設定できますので、保有水平耐力時は浮き上がりを考慮する、Ds算定時は浮き上がりを考慮しないといった異なる条件を設定できます。 Ds算定時、保有水平耐力時の外力分布を別々に設定できますので、保有水平耐力時にQun分布を採用することができます。
脆性破壊の処理
荷重増分法で脆性破壊が生じた場合の処理として、「脆性破壊した部材を取り除いて解析を続ける」「脆性破壊した部材を保持して解析を続ける」「せん断破壊した部材の軸力を保持して解析を続ける」「解析をストップする」から選択できます。これらの処理は、各算定時(Ds算定時、保有水平耐力時)、構造種別(RC、SRC、S、CFT)、解析方向(X方向、Y方向)、部材(梁、柱、壁、ブレース)、脆性破壊の種類(せん断破壊、軸圧縮破壊、横座屈)ごとに分けて指定することができます。
未降伏部材の処理
未降伏の部材に対して、柱梁曲げ耐力比較による曲げ降伏ヒンジの形成と曲げとせん断の余裕度によるせん断破壊の判定を行います。ここで形成した降伏ヒンジとせん断破壊の判定は、Ds算定の部材種別に考慮します。
クライテリアの検討
高層建物には必須の柱耐力の余裕度や柱はり耐力比などのクライテリアを設定し、崩壊形の保証に必要な検討が行えます。この他、せん断耐力の余裕度に対するクライテリアも設定できます。
柱脚の設計フローに対応
「2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書」の「付録1-2.6 柱脚の設計の考え方」に基づいた検討が行えます。(コンクリートの破壊防止・ベースプレートの破断防止にも対応)弾塑性解析時には、柱母材耐力と柱脚耐力を重ね合わせ、内包する終局曲げ-軸力曲線を柱脚の耐力として採用します。
SRC造非埋込型柱脚については、「2007年版 建築物の構造関係技術基準解説書」の「付録1-4.1鉄骨鉄筋コンクリート造部材の靭性確保」に基づいた検討が行えます。
4.技術基準解説書
「2015年版 建築物の構造関係技術基準解説書」への対応内容
内容 | 技術基準解説書記載ページ |
---|---|
耐力壁を有する剛節架構の応力割増しにおいて、デフォルトは割増しする対象を柱の曲げモーメントとせん断力にします。 | P.323 |
ルート2-3を採用した場合は、終了時メッセージを出力します。 | P.374、P.405 |
部材種別判定における袖壁付き柱のσo・τu、腰壁・垂壁付き梁のτuの計算に採用する断面積は、計算条件の指定によります。また、袖壁付き柱のho/Dは、2M/(Q・d)に替えないようにします。 | P.393 |
RC造耐震壁の側柱の断面が小さい場合、壁式構造の耐震壁として部材種別を判定します。 | P.393 |
保証設計において、Ds算定時だけでなく保有水平耐力時についても検討します。 | P.401 |
コンクリート破壊・ベースプレート破断の検討は、アンカーボルトの伸び能力の有無や保有耐力接合の判定にかかわらず、検討します。 | P.627 |
(付1.2-30)式のアンカーボルトを複数本考慮した場合の立ち上げ部側面のせん断力による剥落を検討します。 | P.631 |
露出柱脚の最大せん断耐力は、(付1.2-34)式~(付1.2-41)式に対応しています。 | P.632 |
アンカーボルトの「鋼構造設計規準」による引張力とせん断力の組合せの検討において、アンカーボルト断面積はねじ部断面積にします。また、アンカーボルトの長期許容引張応力度はF/1.5、長期許容せん断応力度はF/(1.5√3)に対応しています(短期は長期の1.5倍)。 | P.638~P.639 |
アンカーボルトの定着の検討は、設計例-1 1.3)に対応しています。 | P.639 |
柱脚ベースプレートの短期許容曲げ応力度は、fb1=F/1.3*1.5とします。【別途計算機能】 | P.640 |
RC造梁および柱のせん断の検討において、ルート3の場合にRC規準2010による短期荷重に対する損傷制御のための検討に対応しています。 | P.649、P.654 |
「鉄筋コンクリート造建物の靭性保証型耐震設計指針・同解説」による終局時の付着割裂破壊の検討に対応しています。 | P.653、P.659 |
耐力壁のせん断ひび割れ強度は、(付1.3-26)式に対応しています。 | P.665 |
5.その他
下水道施設耐震対策指針(日本下水道協会)対応
「下水道施設耐震計算例-処理場・ポンプ場編- 2015 年版(日本下水道協会)」の「8. 既設構造物に対する耐震性能2'の照査例」を参考に、コンクリート標準示方書によるRC柱の終局曲げ耐力式や塑性率、水平変位、RC梁柱の断面情報、各算定位置の応力の出力に対応しています。
- *1制振タイプも扱うことができますが、振動解析は行いません。
- *2販売終了の製品
- *3ブレースが偏心して接合する場合に対する検討は行っておりません。