本建物は愛知県岡崎市の岡崎インター近くにある会社社屋の計画です。建物は幹線道路沿いに面しており、事務所部分全体を覆う高さ15m超の門型フレームと全層を貫くオブジェが特徴で、横切る際に思わず目を引くような、シンボリックなファサードとなっています。今回は、基本設計にて部材断面を決めるために『SS7』を使用しました。
構造計画概要
平面計画は5階建て事務所に1階建ての台形の倉庫部分が取り付いており、全体が斜めに傾いた計画となっています。
事務所部分はX方向・Y方向共に18.5mで平行四辺形のプランです。架構としては四角形の柱割プランを中央に置いた純ラーメンの架構を基本に、片持ちスラブと外壁を鋭角に配置することで複雑に見える架構を実現しました。断面については各々の層をフラットに見せたいという意匠設計者の要望より、H-300×300の広幅とH-294×200の中幅を織り交ぜて設計しました。
基本架構は純ラーメンであるものの、梁成の制約と不整形な建物形状により、地震時の水平変位量が弱点となりましたが、ファサードの特徴である門型フレームとオブジェ部分で隠れる部分に断面性能の高い部材を用いることによって変形を制御しました。
『SS7』利用方法
本建物では『SS7』特有のダミー層は使っていません。しかしながら、平面計画・立面計画とも斜めに取り付く部材が多く、かつ節点の結合なども上下の層で異なったりするなど、複雑な形状をしています。
『SS7』では、『SS3』と比べてより直感的、かつ視認性に優れた入力フォーマットとなっていることから悩むことなくモデル化ができました。また、架構が複雑になると従前の『SS3』では手計算で検討する項目が多くなり、計画段階では詳細まで部材を決めることが難しいですが、『SS7』では基礎や任意垂直ブレースなど一貫で検討できる項目が多いため、計画段階で詳細まで内容を詰めることができます。なにより検討の手間を省くことができるのがよいところです。