本建物は、児童館および放課後児童クラブを主とする施設です。周囲の環境を考慮してボリュームを分節するために、R階屋根は4つの棟に独立するよう配置しています。また、それぞれの室に必要な天井高さを満足するようすべて異なった屋根レベルを設定していることが本建物の特徴です。また2階床部分は、中庭の吹き抜け部を中心として各棟を結ぶように外部テラスが設けられています。
構造計画概要
架構形式は、X方向ラーメン構造、Y方向一部耐震壁付ラーメン構造としています。4つに独立した棟は屋根高さがそれぞれ異なり、屋根レベルと2階床レベルが近い棟では内法長さが短くなり、短柱が存在してしまうことから耐震壁を配置しています。また、ロングスパンとなっている大梁は、ポストテンションによる現場緊張を採用しています。
基礎構造は、杭基礎を採用しています。
『SS7』利用方法
平面計画上、中庭が楕円形であることから不規則な柱配置となっており、通り芯の数以上にダミーとなる通りを設け、より実状に近いモデル化を行うことができました。また、屋根の高さが棟ごとに異なり、それぞれが独立しているため、節点上下移動および多剛床の設定を行い解析しました。
2階床は吹き抜けが多いため、スラブの水平剛性を床版ブレース置換の機能を用いて適切に評価し、解析を行いました。
開口周囲などスリット位置入力の自由度が高いことから、実状にあったスリットのモデル化を行い、腰壁・垂壁の剛性を適切に評価した柱・梁の断面二次モーメントを考慮することができました。
杭は別途個別検討をしていますが、一貫計算で地中梁に杭頭曲げモーメント、杭のせん断力による付加曲げモーメントを反映させるため、杭による応力の直接入力を行っています。
現場緊張のPC梁は別途検討をしました。そのため、キャンセルモーメントは特殊荷重で考慮し、梁の終局耐力を一貫計算に直接入力することで、PC梁のモデル化を行いました。